塞栓術とは?
動静脈奇形の手術のひとつに塞栓術という方法があります。手術のひとつと言いましたが私の場合この方法がメインでした。
この治療がどういうものなのかを患者目線※ここ重要で書いていきたいと思います。
専門的なあれこれではなく患者からすると塞栓術ってこんな治療ですよーという記事になります<(_ _)>
これからこの治療法を受けられる方の参考になれば嬉しいです。
前日にすること
手術の前日にいくつかすることがあります。
先生が施術しやすいようにだったり、手術において起こりうる患者へのリスクを回避するようなものです。
術前準備ですね。
①剃毛
塞栓術を行うにあたってそけい部(脚の付け根)の動脈からカテーテルをいれるので清潔を保つという意味でそけい部の毛を剃ります。
私の場合毎回右のそけい部でした。
おそらく、先生の利き手によって右部か左部か決まるのかな?と思います。
最初の頃は看護師さんが病室に来てジョリジョリとしてくれていたんですが、途中からは自分でやっていました。
女性同士とはいえやっぱり恥ずかしいのと、回を重ねるとだいたいこれくらいの範囲を剃ればいいなというのがわかってくるので自分で剃ってからあとでOKかどうか確認してもらという感じでしていました。
ちなみに、私の患部は顔なのになんでわざわざ脚の付け根なんていう遠いところからやるんだろう?腕からのが近くて先生もやりやすいだろうに・・・と疑問に思って先生に聞いてみたことがあるんですが、なるべく遠いところからの方が血栓が飛んだりというリスクが少ないんだそうです。
・・・ぶっちゃけ↑の疑問は表向きな理由でやっぱりそんなところをあらわにするのは恥ずかしいのと、なにより手術直後からカテーテルを通すための針を刺していたところを圧迫固定して止血をするんですが、それが24時間!これが地味にきつい。
腰回りから太ももまでを圧迫帯でぐるぐる巻きに拘束されて寝返りもうったらダメ、足を曲げるのもダメの状態でひたすらまっずぐ仰向けに寝るっていうのが本っ当にきついんですよね。
なのでそれを避けたいがための他の動脈からできないのかな~せんせーいツンツン(・´з`・)бだったりしたんですが見事に正当な理由で却下されました(´ー`)
②足の甲と手首にしるしをつける
看護師さんが足の甲の脈がふれるところと手首の脈がふれるところに油性マジックでバッテンXを書いてくれます。
前述した術後の圧迫帯ぐるぐる拘束タイムの時に看護師さんが定期的に足の甲のXの脈を確認にくるのですが、誰が来てもすぐに確認できるようにここやでーっていう目印ですね。
③弾性ソックスを履く
血栓防止のために履きます。
これは割と近年になってからですね。
最初の頃は履かされることなくそのままでした。
手術当日の朝にすること
正確には午後からの手術の場合だとその数時間前とかになります。
導尿と点滴
手術中はもちろん術後もしばらくは自力で歩いてトイレに行くことができないので導尿といって尿道に管を入れられます。
そうすると尿意を催そうが催さまいが勝手におしっこが管を通って管の先に繋がれたジップロックのようなものに出ていくようになります。
ちなみにこのおしっこの管が繋がると自分で生きてる感が一気に薄れます。
自我を侵食されると言いますかもう気分はまないたの鯉。
非常~に不快です(-.-)
ちなみにちなむと、術後の拘束タイムに大の方がしたくなってしまった場合はベッド上ですることになります( ゚Д゚)
ですが幸い私は不思議としたくなったことがありません。
気が張っているせいなのか、あまり食事をとらないせいなのか、寝たきりで腸が動かないせいなのかわかりませんがその点は今のところ困ったことがないので助かっています。
あとは点滴ですね。
腕の曲がらないところの外側に割と太めの針の点滴が入ります。
術中に造影剤という薬を使うのでそれを早く体外に排出するためだったり単純にごはんの代わりだと思います。
術前に手術室ですること
まず、ストレッチャーから手術台に移されるもしくは車いすで移動して自力で手術台に横たわります。
そうすると早速大きいレジャーシートのようなもので体全体を覆われます。
そのレジャーシートのようなものは執刀部分だけが切り取られた窓状になっているもので私の場合はその窓の部分が鼠径部にくるように覆われます。
そして直径5ミリ~1cmくらい(太さは少しうろ覚えです。確か、7ミリくらいかな~と先生は言っていた気がします。)のぶっとーい針の注射を脚の付け根にある動脈血管に刺されます。
・・・っと、その前に7ミリの針の注射をそのままてぇいっ!はとっても痛いので普通の大きさの針の注射器で脚の付け根に局所麻酔を打たれます。
麻酔が効いているので次の7ミリ注射は痛みなないです。
が、なんだかツーンとするのと”なんだかすごく嫌な感じ”がします。
そしてその7ミリの針を刺したままで注射器だけが外されます。
足の付け根から7ミリ針がニョキッと生えているような状態です。
普通に考えると動脈に穴を開けているのでこの状態は血が噴き出すわけですが、その注射器はそれ用なので弁かなにかついているのでしょう、血が噴き出したりはしないです。
そしてその7ミリ針にカテーテルといわれる細くて長ーいチューブを挿入します。
7ミリ針はIN動脈血管なのでそのままそのカテーテルは血管内を通る、という仕組みができあがります。
そしてそのカテーテルの先端を患部までスルスルスル~っと挿入していきます。
お医者さんってすごいなぁと思います。
モニターを見ながら手でスルスルスル~っとくねくねの血管の中を通していくんですもんね。
私の場合足の付け根から左顔面。
えらい長い道のりです。
ここだけの話。
今まで手術とこの方法を使う術前検査を12回程してきて3人の先生に施術してもらいましたが正直このスルスル具合の上手い下手は患者側はわかりますw
あっ、今ひっかかった。とか、
曲がるのにてこずってるなぁ。とか( *´艸`)
一番年齢の大きい先生がやはり一番神スルスルだったのでこれに関しては手先の器用さうんぬんよりは、やはり経験の差なのかなという印象です。
ここまで終えると準備が整ったという感じで患者の私も先生方も一旦ブレイクのような時間になります。
「麻酔担当します、〇〇です。」の自己紹介があったり、
「緊張してる~?」とか話しかけてくれる看護師さんがいたり。
この手術の直前に話しかけて来てくれるのって患者はめちゃくちゃ安心します!
手術って本当に心細くて不安で不安で嫌で嫌で仕方ないんですよね。
何度やってても慣れないし何をやるのかわかってても本当に嫌です。
ひどいときは「麻酔効くまで手ぇ握っててください(;_:)」ってお願いして握ってもらった時もありました(^_^;)恥ずかしいことをお願いしてるのはわかってるんですがそれくらい不安で嫌なんですよね。
冗談抜きで手術台の上で逃げ出そうかなってずーーーっと葛藤してます。
碇シンジよろしく、逃げちゃダメだ・・逃げちゃダメだ・・・・状態です。
もし、これを読んでくれたオペ室勤務の医療関係者の方がいたら患者さんに声をかけてあげて下さい。なんでもいいです。ホントに気が楽になるんです(^-^)
そんなこんなで先生たちの準備、患者の心の準備が整うと執刀医の先生が「じゃあ今からやってくからね。頑張ろうね。」みたいな感じで最後の声掛けがあって手術が始まります。
いざ塞栓術開始
ぶっちゃけ術中は、麻酔をがっつりかけられるもしくは全身麻酔で完全に眠っているのでされるがままの記憶も曖昧です。
とはいえ、全身麻酔でないときはボーッとしている中でもあれやこれやされる感覚と先生方の話声は普通に聞こえています。あと、手術室って音楽がかかっているのでそれも聴いています(^^;)
定期的に造影剤というものを流されるのですがその造影剤が流れるときは体や患部がカーッと熱くなります。何度も繰り返してると慣れることは慣れますが気持ちのいいものではありません。
あと、塞栓術プラスαでアルコール注入(と呼んでいましたが正式名称は他にあるかもしれません)と言って皮膚表面に直接針を刺し患部まで到達させたのちにアルコールをブチュッっと注入して塞栓した血管を壊死させる方法があるんですがそれがものっそい痛い。まじで死ぬんじゃないかと思うくらい泣き叫ぶレベルで痛い。それをやるときは絶対に全身麻酔でしていただくようにしています。でも、先生によったら全身麻酔はリスクが大きいからダメって言われるときもあったのでその時は極力麻酔をMAXで使ってもらうようにして乗り切っていました。
もしアルコール注入をこれからされるという方は是が非でもMAX麻酔or全身麻酔ですることをお勧めします。
時間は3時間から一番長い時で6時間くらいかかったと記憶しています。
これも腫瘍の場所や大きさで変わるとは思います。
手術後の流れ
そんなこんなで手術が終わると7ミリ針を刺していたところを先生か助手さんが手で圧迫止血をしてくださいます。地味に気まずいその数十分(^^;)
そして無事止血が済むとそこにかったいかったい綿の塊をあてがわれて圧迫包帯でぐるぐる巻きにされストレッチャーにて病室に戻れるといった流れです。
全身麻酔のときは目覚めたら終了していて病室のベッドの上です。
それからおよそ24時間ベッド上で寝たきり状態になります。直径7ミリのものを動脈に数時間刺していたので止血したものの動くと出血する可能性があるからです。
寝返り禁止。足曲げ禁止。横向くの禁止。上体を起こすの禁止。という最初の段階が半日ほど続いてそれからは数時間単位で徐々にできることが解禁されていきます。
このベッド上拘束がまたキツくて背中とかお尻とか痛いし・・・術後の患部も痛いし・・・最悪な時間です( ;∀;)
そうした拘束タイムを終えるとようやく圧迫帯も外されて少しずつ歩いたりできるようになり、一週間から十日ほどで退院となります。
まとめ
以上、患者目線で塞栓術という治療のあれこれを書いてみました。
次回の患者目線シリーズいつからシリーズ化したんだはアルコール注入について書きたいと思います。
\ポチッと応援お願いします/